トイレに物を落とした焦らないための体験談

あれは確か、もう何年も前のことになります。朝、出かける前にトイレに入っていた時のことです。ズボンのポケットに鍵を入れたまま座り、立ち上がろうとした瞬間に、チャリンという音と共に何かが便器の中に落ちていくのが見えました。「あ!やばい!」と声が出ました。幸い、落ちたのは鍵の束のうちの小さなキーホルダーでしたが、便器の水の底に沈んでいくのを見て、一気に血の気が引きました。こういう時って、頭が真っ白になってパニックになりますよね。すぐにでも流したい気持ちと、流したらまずいという気持ちが交錯しました。反射的に流すレバーに手が伸びそうになりましたが、インターネットで読んだ「トイレに物を落としたら絶対水を流すな」という記事を思い出し、寸前で思いとどまりました。まずは落ち着いて状況確認です。キーホルダーは便器の排水口の入り口近くに見えています。水の底に沈んでいますが、手で届く範囲です。ゴム手袋を装着し、恐る恐る手を伸ばしてみました。便器の内側は結構ヌメヌメしていて不快でしたが、何とか指先でキーホルダーに触れることができました。しかし、形状が複雑で滑りやすく、なかなかうまく掴めません。ここで無理に奥に押し込んでしまったら大変だと思い、一度手を引っ込めました。何か道具はないか、と家の中を探し回った結果、調理用の長いトングがあることを思い出しました。トングの先端がゴムで覆われているタイプだったので、便器を傷つける心配も少ないだろうと考え、それを使ってみることにしました。改めてゴム手袋を装着し、慎重にトングを便器の中に入れます。沈んでいるキーホルダーをトングの先端で挟もうと試みました。何度か失敗しましたが、ようやくしっかりと挟むことができました。そのままゆっくりと引き上げると、無事にキーホルダーを便器の外に取り出すことができました!安堵のため息と共に、冷や汗が流れました。床に溢れたり、排水管の奥に詰まらせたりといった最悪の事態にならずに済んで、本当に良かったです。